キルケゴールは実存主義の創始者として知られ、その思想は「いま、ここに、現実的に存在する私」を重視するものでした。彼の名言は、人間の存在、愛、信仰、絶望など、さまざまなテーマをカバーしています。彼の名言には、「愛はすべてを信じ、しかも欺かれない。愛はすべてを望み、しかも決して滅びない。愛は自己の利益を求めない。」、「人は何を愛すかという問題に対して人がなし得る唯一の答えは、人は愛されるにふさわしいものを愛す、ということである。」などがあります。
キルケゴールの人生
項目 | 内容 |
---|---|
生年月日 | 1813年 |
出生地 | デンマーク、コペンハーゲン |
家族背景 | 裕福な商人の家庭 |
学歴 | コペンハーゲン大学(神学と哲学を学ぶ) |
政治思想 | 実存主義(「いま、ここに、現実的に存在する私」を重視) |
恋人 | レギーネ・オルセン(後に婚約を一方的に破棄) |
死去 | 1855年 |
死因 | 教会闘争最中に道ばたで倒れ |
セーレン・キルケゴールは1813年にデンマークの首都、コペンハーゲンの裕福な商人の家庭に生まれました。彼は17歳の時にコペンハーゲン大学に入学し、神学と哲学を学びました。彼の哲学は、一般的な「人」ではなく「この私」に焦点を当てたものでした。実存とは「いま、ここに、現実的に存在する私」を意味します。この実存という哲学的概念の発見は、まさにキルケゴールという具体的で個人的な苦悩の体験から得られたものでした。キルケゴールはまた、恋人レギーネ・オルセンとの関係でも知られています。彼は24歳の時に当時14歳だったレギーネを知り、恋に落ちました。しかし後に彼は一方的に婚約を破棄しました。この出来事はキルケゴールにとって大きな苦悩となりましたが、同時に彼をさらなる哲学的な思索や著作活動へと駆り立てることとなりました。彼の人生は苦悩に満ちたものであったと言えますが、今日では実存哲学の先駆者と言われ、現代の哲学に至るまで多大な影響を与えた人物です。
キルケゴールの考える絶望、「死に至る病」
キルケゴールの考える「絶望」については、彼の著書『死に至る病』で詳しく語られています。以下にその主なポイントをまとめてみます。
- 絶望とは何か: キルケゴールによれば、絶望は「自己の本当のあり方から離れてしまっていること」、そこから抜け出してしまっている「私」の存在のことを指します。また、彼は絶望を「死に至る病」と表現し、絶望とは死にたいけれども死ぬこともできずに生きていく状態、つまり生きながら死んでいるようなゾンビ状態のことを指しています。
- 絶望の種類: キルケゴールは絶望をさまざまなタイプに分類しました。それは「無限性の絶望」、「有限性の絶望」、「可能性の絶望」、「必然性の絶望」などです。
- 絶望からの救済: キルケゴールは、絶望から解放される方法も教えています。彼によれば、絶望からの救済は「信仰」によってなされるとされています。
彼の思想は非常に深遠で、現代の人間の悩みや疑問にも通じる普遍的なテーマを扱っています。
キルケゴールの思想
キルケゴールの思想は、実存主義の創始者とされ、自己を見失った生き方を神への信仰によって自分らしく生きることへと飛躍させることを目指したものです。彼の思想は以下のような特徴を持っています
- 主体的真理:キルケゴールは、人間にとって必要なのは理性で得られる客観的な真理ではなく、自分だけの生きがいになる理念であり、自分がそのために生きそのために死んでいけるような真理、すなわち「主体的真理」であると考えました。
- 絶望と信仰:彼の著書『死に至る病』では、絶望とは「自己の本当のあり方から離れてしまっていること」を指し、絶望からの救済は「信仰」によってなされるとされています。
実在主義を基本として、人間の生きていく目的の哲学的な問いに対する答えを定義し、そうでない人を救う手立てまで用意していますね。
偏った父の信仰とそれの影響
彼の父親は敬虔なクリスチャンでしたが、幼いころ、その境遇を憂いて神を呪ったことがありました。その後、父親は商売で成功を収めましたが、神を呪った罪の報いとして子どもたちは34歳までに亡くなると考えていました。キルケゴール自身も34歳までに死ぬだろうと確信していたため、34歳の誕生日を迎えたとき、それを信じることができず、教会に自分の生年月日を確認しに行ったほどでした。しかし、彼はその後も生き続け、実存主義の創始者として評価されるようになりました。
キルケゴールの名言集(1)
名言1
愛はすべてを信じ、しかも欺かれない。
愛はすべてを望み、しかも決して滅びない。
愛は自己の利益を求めない。
名言2
人は何を愛すかという問題に対して人がなし得る唯一の答えは、人は愛されるにふさわしいものを愛す、ということである。
名言3
あらゆる人生は反復である。
追憶は後方へ向かって反復されるが、本当の反復は前方に向かって反復される。
名言4
絶望とは死にいたる病である。
自己の内なるこの病は、永遠に死ぬことであり、死ぬべくして死ねないことである。
それは死を死ぬことである。
名言5
私にとって真理であるような真理を発見することが必要なのだ。
しかもその真理は、私がそのために生き、そのために死ねるような真理である。
名言6
罪とは、存在する代わりに創作し、ただ空虚の中でのみ善と真とを問題にし、実在的にはそれであろうと努力しないことである。
名言7
人生は、解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である。
名言8
たまたま私の身に起こることが私を偉大にするのではなく、私の行うことが、私を偉大にする。
名言9
女は、自分の前を通った婦人の眼が自分を注目したか、否かを直感的に悟る術を心得ている。
女が身を飾るのは、ほかの女たちを意識しているからである。
名言10
人を誘惑することのできないような者は、人を救うこともできない。
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