アラン(エミール＝オーギュスト・シャルティエ)の 名言30選！アランの幸福論の名言も紹介

毎日を少しでも軽やかに生きたいと願うなら、アランの言葉に耳を傾けてみてください。哲学者でありながら、彼の名言はむずかしい理屈ではなく、生活に根ざした優しさと鋭さに満ちています。気分に流されず、自分の意志で幸せを選ぶ、そんな生き方のヒントが、ここにあります。

悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。
（Le pessimisme est d’humeur ; l’optimisme est de volonté.）

アランの幸福論 名言

アラン(エミール＝オーギュスト・シャルティエ)ってどんな人？

項目	詳細
本名	エミール＝オーギュスト・シャルティエ（Émile-Auguste Chartier）
生年月日	1868年3月3日
死没日	1951年6月2日
死没地	フランス、イル＝ド＝フランス地域圏、ル・ヴェジネ
職業	哲学者、評論家、教師
教育歴	高等師範学校（École Normale Supérieure）卒業
主な著作	『幸福論（Propos sur le bonheur）』、『火星あるいは戦争の真実（Mars ou la guerre jugée）』
埋葬地	パリ、ペール・ラシェーズ墓地

​フランスの哲学者エミール＝オーギュスト・シャルティエ（通称：アラン、1868年3月3日 – 1951年6月2日）は、ノルマンディー地方のモルターニュ＝オー＝ペルシュで生まれました。​父親は獣医師で、母親は商家の出身です。​1881年、アランはアランソンのリセ（高等学校）に入学し、1886年にヴァンヴのリセ・ミシュレに進学しました。​ここで哲学者ジュール・ラニョーの影響を受け、哲学への道を志すようになります。 ​1889年、フランスの高等師範学校（École Normale Supérieure）に入学し、1892年に哲学のアグレガシオン（教員資格試験）に合格しました。​その後、ポンティヴィ、ロリアン、ルーアン、パリのリセで哲学教師として勤務し、1909年からはパリの名門校リセ・アンリ4世で教鞭を執りました。​彼の教え子には、シモーヌ・ヴェイユ、レイモン・アロン、ジョルジュ・カンギレムなどがいます。 ​アランは1903年から地元紙に短い随筆「プロポ（Propos）」を寄稿し始め、日常生活や政治、哲学に関する洞察を綴りました。​第一次世界大戦中の1914年、彼は46歳で志願兵として従軍し、砲兵隊の伍長として従事しました。​1916年に負傷し、1917年に復員しています。 ​戦後、アランは平和主義を強く訴え、1921年には戦争の悲惨さを描いた『火星あるいは戦争の真実（Mars ou la guerre jugée）』を出版しました。​彼の代表作である『幸福論（Propos sur le bonheur）』は1925年に発表され、日常生活における幸福の追求についての考察がまとめられています。1936年、アランは脳卒中を患い、その後は車椅子生活を余儀なくされました。​1951年6月2日、パリ近郊のル・ヴェジネで逝去し、ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されました。

アランの幸福論の名言

​あらすじ：フランスの哲学者アラン（本名：エミール＝オーギュスト・シャルティエ）の『幸福論』は、幸福を得るための具体的な方法を示した名著です。​彼は、幸福は偶然の産物ではなく、意志の力によって築かれるものであると強調しています。​人間は放っておくと悲観的な気分に流されがちであり、だからこそ意識的に楽観主義を選択し、上機嫌でいる努力が必要だと述べています。 ​また、アランは感情（情念）のコントロールの重要性を説いており、理性によって感情を制御することで、怒りや苛立ちといった負の情念を抑えることができるとしています。さらに、心と身体の相互作用にも注目し、身体の状態が心に影響を与えると同時に、心の持ちようが身体にも影響を及ぼすと指摘しています。​例えば、笑顔を作ることで気分が明るくなるといった、ポジティブなフィードバックを活用することを推奨しています。 ​アランは、幸福になるためには自らの意志で行動し、感情をコントロールし、日々の生活の中で積極的に幸福を追求する姿勢が重要であると説いています。​

悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。
（Le pessimisme est d’humeur ; l’optimisme est de volonté.）

アランの幸福論 名言

解説：この言葉の核心にあるのは、人間の感情（humeur）と理性（volonté）の分離です。アランは、悲観というものが「気分＝一時的で受動的な心の状態」にすぎないと喝破します。それは天気のように移ろいやすく、自動的にやってくる。しかし楽観主義は違う。そこには意志＝選択の力がある。ここでいう「楽観主義」は、軽薄なポジティブ思考ではなく、むしろ困難な状況の中であえて前を向くという、哲学的な態度です。ストア派哲学と共鳴するこの思想は、単なる感情への屈服ではなく、「判断停止を拒み、主体的に意味を見出そうとする」精神の働きです。アランは、楽観を「選ぶ」こと自体が、すでに人間としての力の発露だと考えました。だからこの言葉は、悲観を否定するのではなく、気分に支配される生き方からの解放を訴えているのです。

幸福とは、我々の持っているものと我々の在るがままを愛することである。
（Le bonheur, c’est aimer ce que l’on a et ce que l’on est.）

アランの幸福論 名言

解説：この名言には、アランの反・浪漫主義的な立場がよく表れています。彼は、幸福を待つものでも追いかけるものでもなく、現にここにある自分と世界に目を開くことだと定義しました。つまり、「理想の何か」ではなく、「すでにあるもの」にこそ幸福の可能性を見出そうとする。この思想は、古代ギリシアのエピクロス主義や、仏教の「足るを知る」とも共鳴します。しかしアランは、そこに一歩踏み込んで、「愛する」という能動的な態度を求めた点が特徴的です。「我慢する」のではない、「諦める」のでもない。能動的に「これでいい」と愛する。ここに、幸福を“意志と感情の共同作業”と捉える彼独自の思想が見えます。幸福とは、所有の量ではなく、「関係の質」であるという、逆転の視点を示しています。

上機嫌でいること、それは人間の第一の義務である。
（Être de bonne humeur, c’est le premier devoir de l’homme.）

アランの幸福論 名言

解説：この言葉は、一見するとユーモラスに響きますが、アランの倫理思想の核心を突いています。彼にとって「上機嫌」とは、ただ明るく振る舞うということではなく、社会の中で自らの態度が他者に与える影響に責任を持つことを意味しています。アランは、感情というものを「伝染する力を持つ社会的現象」と捉えていました。つまり、自分の不機嫌は周囲を巻き込み、世界を暗くする力を持っている。反対に、意識的に上機嫌でいるという選択は、他者の自由や幸福にも寄与する「倫理的な行為」なのです。また、心理学的に言えば、「表情フィードバック仮説（Facial Feedback Hypothesis）」にも通じる考えです。つまり、笑顔でいることは、自分自身の感情状態もポジティブに変える。自分の上機嫌が、他人にも自分にも好循環を生むという知見を、アランは感覚的に捉えていたとも言えます。この名言は、「気分はコントロールできない」という現代的な思い込みに対して、「いや、できる。だから、やるべきだ」というラディカルな提案でもあります。

アラン(エミール＝オーギュスト・シャルティエ)の名言集(1)