
SK hynixの業績推移や財務状況をまとめました。
メモリ市場の中で存在感を持つ当社が、どのような推移で業績を向上させてきたかをご覧ください。
会社概要
SK hynixは韓国に本社を置く、DRAMやNANDフラッシュを製造する大手半導体企業です。
同じ韓国のSamsungが同業で非常に大きなシェアを持っているため、影に隠れがちですが、SK Hynixも売上を4.46兆円も持つ巨大企業で、日本の半導体メーカーでSK hynixに並ぶ企業は残念ながらありません。
このことからもSK hynixの半導体企業としての大きさがよくわかりますね。
項目 | 内容 |
---|---|
本社所在地 | 韓国 京畿道 利川市(イチョン市) |
設立年 | 1983年 |
従業員数 | 約21,000名 |
売上 | 4兆4600億円(2022年) |
製品 | DRAM,NAND |
ちなみに、利川市の場所は下記の場所になります。

業績推移
SK hynixの業績推移を見ていきましょう。
SK Hynixはセグメント単位での業績比較ではなく、売上と純利益の推移やキャッシュフローの推移などから業績を見ていきましょう。
そもそも半導体業界ってどんな業界かを知りたい方は下記ブログを参照ください。
売上・純利益
下の図はSK hynixの年間売上(青色)と純利益(緑色)を表した図になります。
下記図から読み取れる売上・純利益の増減について、要因をまとめると下記の通りとなります。
- 2016円にかけて:売上/純利益 微減
PCセグメントの不調から、メモリの出荷数と平均販売価格が減少 - 2018年にかけて:売上/純利益 大幅増
スマホやデータセンター需要により、DRAM,NANDの出荷数と平均単価の増加 - 2019年にかけて:売上/純利益 大幅減
DRAMとNANDの需要と供給のバランスが崩れ、価格が大幅に下落 - 2022年にかけて:売上/純利益 大幅増
巣篭もり需要やデータセンター・AIバブルなどにより、メモリ需要が増加

メモリ市場の価格動向については下記ブログより詳細をご確認ください。
DRAM,NANDの売上比率
下の図はNANDとDRAMの売上比率の推移を表した図になります。
こうしてみると2019年までDRAMが約75%を占めていましたが、徐々にNANDのシェアが伸び始め、現在ではDRAMのシェアが63%まで下がっています。
これは2020年にSK hynixがIntelのNAND部門を買収し、そのシェアを一気に伸ばしたためです。
これにより、Micronと大体同じような売上比率の会社になり、DRAM一辺倒であった会社経営の体質が改善されたと思います。

他社の市場シェアが気になる方は、SK Hynixと最も近い業態のMicronについて、下記ブログより確認ください。
キャッシュフロー
それではキャッシュフローを見ていきましょう。
下記の図はキャッシュフロー(左図)と期初残高(右図)を表しています。
やはり売上高が下がっている2016年、2019年はフリーキャッシュフローが非常によくないですね。
しかし、ここで注目していただきたいのが2022年と2021年です。
それそれ前年に比べて売上高が上昇したにも関わらず、フリーキャッシュフローが大幅に悪化しています。
これは売上こそ伸びているものの、投資キャッシュフローの額が大きいことが要因です。
つまり一年間の営業活動で得られる資金よりも大きい額を投資に回していることがわかります。
ただ、期初残高は2020年が最低水準であり、現在は過去2年で貯めた貯金を大きく投資に回している段階ですね。
一見するとフリーキャッシュフローの赤字化は悪い印象を持ちますが、期初残高と一緒に確認すると特に問題がないことがわかりますね。

ROE,ROA
次にROEとROAを見ていきましょう。
2018年までと2019年以降で、ROEとROAの値が大きく変化しています。

ROAとROEの減少は資産の伸びに対して、売上の伸びがそこまで大きくないことに起因します。
下記図は売上,純利益の推移(左図)と総資産の推移(右図)になります。
ここからわかるように、売上の最高額がそこまで変わらない中、総資産は大きく膨れ上がっています。
同じ収益を生み出すにも最新設備などが必要になってきており、半導体業界の最先端競争の厳しさを物語っています。


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