【半導体株】半導体市場規模の推移をセグメントごとに調査!半導体市場好況の要因は?SOX指数の参考に!

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この記事でわかること

半導体産業の好景気の秘密

シリコンサイクルの実態

半導体セグメント別の影響度

半導体産業の成長について、驚くべき事実が明らかになりました!

2010年代中頃までは、日本大手企業の半導体事業撤退・統合が相次ぎ、景気の悪い印象のあった半導体産業。
しかし、AIバブル・IOTバブルなどをきっかけに、かつてないスピードで急成長を遂げています。

下のグララフは2015年から2022年までの半導体市場規模の推移を表した図になっています。 2022年には過去最高の6000億ドルに達し、2029年には約1兆ドルの市場規模になることが予測されており、まだまだ発展の余地がある産業となっています。

そんな半導体の歴史を振り返っていきましょう!

半導体の景気循環

POINT

過去7年で半導体市場規模は約1.88倍

半導体市場の景気循環

下のグラフは2015年から2022年までの半導体市場規模の推移を表した図です。

2015年には3,500億ドルにも満たなかった市場規模が、2022年には過去最高の6,330億ドルに達しました。
2029年には約1兆ドルの市場規模になることが予測されており、まだまだ発展の余地がある産業となっています。

そんな半導体市場の規模も右肩上がりに伸びているわけではなく、バブル・バブル崩壊を数年スパンで繰り返し急成長していることがわかります。

半導体市場の構成は?

POINT

メモリ・マイクロプロセッサで市場規模の約50%を占める

半導体市場の中にさまざまな製品群がある

下記グラフは2022年 半導体市場のセグメント別構成比率(出荷額ベース)を表したものになります。
セグメント別では1位 メモリ 28.2% 、2位 マイクロプロセッサ 20.8%と二つで半導体市場規模の約50%を占めています。

半導体が好調と言っても、セグメントによって市場における影響度はさまざまであることが分かると思います。

規模の観点から、半導体市場全体に大きく影響を及ぼすセグメントはメモリ・マイクロプロセッサ・ロジック・アナログの4つの可能性が高く、この4つのセグメントを理解することが非常に重要です。

それではこの各セグメントの動きがどのように半導体業界全体のサイクルに寄与しているかを見ていきましょう。

[歴史]2015年から2018年

それではまず、2015年から2018年にかけての半導体市場の急成長の要因を見ていきましょう!

半導体市場の成長(2015-2018)

市場規模が約40%UP

メモリセグメントの貢献が大きい

下の図は、2015年から2018年にかけての半導体市場規模の推移(左図)セグメント別の市場規模の推移(右図)です。

2015年から2018年にかけて、半導体市場全体で約40%の成長と著しい成長が確認できますね。(左図より)

この半導体市場の好調は、半導体市場全体セグメントが好調だったことを示すのでしょうか?

セグメント別の市場規模の推移(右図)を見ると、メモリ産業だけで2015年から2018年にかけて売り上げが約2倍となっています。
さらに、他のセグメントは大体横ばいか微増となっています。

半導体市場全セグメントが好況というわけではないことがわかります。

それではマイクロプロセッサやロジック、アナログは横ばいにも関わらず、なぜメモリ産業はここまで好調に推移したのでしょうか?

その要因を見ていきましょう。

メモリ産業好調の要因

メモリセグメント好調の要因(2015-2018)

DRAMの販売価格が約2.2倍

NAND,DRAMの出荷台数が約1.2倍

NANDの販売価格の下落を他でカバー

下の図は、2015年から2018年のNAND,DRAMの平均販売価格と年間出荷台数の推移(左図)2015年から2023年までのDRAMの需要・供給のbitあたり成長率(右図)を示しています。

2015年から18年にかけてNAND,DRAMともに出荷台数を約1.2倍、さらにDRAMの平均販売価格は約1.6倍となっています。

DRAMの平均販売価の上昇は、2DRAMの年間需要成長率が12.5%〜37.5%と高い水準を維持し続けたことによるものです。

以上から、メモリセグメント好調の要因は1.NAND,DRAM出荷台数の増加、2.DRAM平均販売価格の上昇と考えられます。

一方、2017年に比べて2018年からはNANDフラッシュの平均単価が約半額と大幅に下落していることがわかります。

2018年はDRAMの平均販売価格の上昇に助けられ、NANDの価格下落の影響を相殺し、メモリ産業の成長が続く

[歴史]2018年から2020年

それでは、2015年から2018年にかけての半導体市場の急減退の要因を見ていきましょう!

半導体市場の後退(2018-2020)

市場規模 約13%DOWN

メモリセグメント 約27%DOWN

マイクロプロセッサ 約25%UP

下の2つの図は、2018年から2020年にかけての半導体市場規模の推移(左図)セグメント別の市場規模の推移(右図)となっています。

半導体市場の規模が2018年から2019年にかけて大きく減少し、約13%の減少が確認できます。
金額にすると約6兆円が失われた計算になり、その影響は2020年まで続いていることがわかります。

特にメモリセグメントの減少が著しく2018年から2019年にかけて 約27%DOWNしています。
メモリセグメントのみで約5兆円が失われた計算になります。

一方で、マイクロプロセッサとロジックのセグメントではそれぞれ約25% UP、約13% UPと好調に業績が推移しています。

マイクロプロセッサやロジックの好調もあったが、メモリの低迷が著しく業界全体で後退となりました。

マイクロプロセッサやロジック、アナログは横ばいにも関わらず、なぜメモリ産業はここまで後退したのでしょうか?

その要因を見ていきましょう。

メモリ産業後退の要因

メモリセグメント後退の要因(2018-2020)

DRAMの販売価格 約50%DOWN

NANDの販売価格 約50%DOWN

NAND,DRAMの出荷台数 約6%UP

下の図は、2017年から2019年末までのNAND,DRAMの平均販売価格と月間出荷台数の推移(左図)2015年から2023年までのDRAMの需要・供給のbitあたり成長率(右図)を示しています。

まず一点補足しておきたいのが、DRAMの出荷数についてです。
左図からNAND,DRAMの月間出荷台数が2018年を境に大幅に減少しているように見えると思います。
しかし、2018年は1月を底に出荷数は伸び続け年間出荷台数は2017年を大幅に超えています

2018年はDRAMの価格高騰に助けられ、メモリセグメントは大きな成長を遂げました。
しかし、2018年から続くDRAMとNANDの価格下落に歯止めがかからずDRAM,NANDそれぞれで約50%の価格DOWNを経験しました。

右図から2019年に需要成長率と供給成長率に大きな乖離があり、生産量が需要を大きく上回ったことが下落の原因とわかります。
2015年も同様の状況で価格は大きく下落していましたが、需要そのものが大きかったため大きな後退は免れていました。

[歴史]2020年から2022年

それでは、2015年から2018年にかけての半導体市場好況の要因を見ていきましょう!

半導体市場の好況(2020-2022)

市場規模過去最高 約6,300億ドル

市場規模 約88%UP(対2015年)

メモリセグメント 約53%UP(対2019年)

マイクロプロセッサ 約45%UP(対2019年)

ロジック/アナログ 約45%UP/約32%UP(対2019年)

下の2つの図は、2020年から2022年にかけての半導体市場規模の推移(左図)セグメント別の市場規模の推移(右図)となっています。

ここの期間は世界中でコロナウイルスが流行し、巣篭もり需要が増えた期間ですね。

図より、今までとは違い全セグメントで好況という状況がわかります。
文字通り半導体業界全体ですごく好況という状況ですね。

各セグメントの成長(対2019年)を見ていくと、メモリ 約53%UP, マイクロプロセッサ 約45%UP, ロジック 約45%UP, 約32%UP

この半導体市場全体にわたる好況は何が要因なのでしょうか?

その要因を見ていきましょう。

半導体産業好況の要因

半導体市場好況(2020-2022)

コロナ禍によるPC、タブレット需要の増加

IOTデバイスの大幅な普及

2020年に発生したバブルについては、複合的な要因により市況が大きく押し上げられました。
その要因として、コロナ要因とそれ以外の要因の二つに分けて説明をしていきたいと思います。

まず、コロナ要因についてです。

下の図は、2015年から2022年までの全世界PC出荷台数の推移(左図)と同期間でのLogic ICとMPUの年間出荷台数と年間平均単価(右図)を表しています。

実はPCの出荷台数はコロナの前まではやや微減での推移であり、2020年以降一気に生産台数が伸びていることがわかります。(左図より)
さらにPCの需要拡大と同時にLogic ICとMPUの出荷台数、MPUの平均単価が大きく上昇していることがわかります。(右図)

コロナによる需要拡大で、MPUの価格が高騰し、出荷台数も伸びたことがマイクロプロセッサセグメントの成長に繋がったと考えられます。
また、PCが売れるとメモリ、Logic IC、アナログ半導体も自然に売れていきます

次にコロナ以外の要因です。

下の図は通信方式別の通信機器の販売台数推移です。

赤色は昨今話題のIOT機器に使用される通信方式、NB-IOTとなっており、近年この通信方式を採用するデバイスの出荷が急成長していることがわかります。
洗濯機から医療用機器、産業用機器に至るまで全てに使用されているIOT機器を含んでおり、今後も大きな成長率を保ったまま伸びていくことが期待されます。

基本的にIOTデバイスが普及すると、小さなLogic IC、アナログ半導体、メモリなどが大きく普及します。
コロナ以前から伸びているこのセグメントは半導体の必要機会を大きくし、産業全体の規模を大きくしています。

フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)とは?

フィラデルフィア半導体株指数は正式名称:PHLX Semiconductor (SOX)
半導体の設計や製造、流通、販売を手掛ける、代表的な企業の株式(30銘柄)で構成される修正済み時価総額加重平均型指数です。

SOXは、ナスダック社と協力してフィラデルフィア証券取引所に上場しています。
1993年に米国のNasdaqが算出・公表するようになりました。

半導体は産業の米と呼ばれ、現代社会に欠かせない電子部品です。
SOX指数は、半導体産業の動向やIT産業の先行きを見るために注目されています。

SOX指数の具体的な業績は下記サイトを参照ください。

2023年3月27日 | 人生のtips
あなたの人生をより豊かに
フィラデルフィア半導体株指数sox指数とは?基本/

まとめ

一言に半導体市場が好調と聞いても、その要因は様々で目の付け所がバラバラです。

今回はそんな複雑な半導体産業が少しでも理解をいただけたなら幸いです。

今後も各企業のまとめを行ってきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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