
Androidスマホに多く利用されているQualcomm製のSnapdragon
スマホ用SoCだけが強みではなく、5Gチップセットや特許・ライセンスでも非常に力強い販売力を持ちます。
そんなQualcommの売上から歴史までを一緒に見ていきましょう。

1.Qualcomm(クアルコム)とは
Qualcommは、アメリカの半導体・通信機器メーカーであり、モバイル端末向けのSoC(System on a Chip)やモデムチップなどを提供しています。
Snapdragonというブランド名で知られるSoCは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に広く採用されています。
Qualcommは、スマートフォンやタブレットだけでなく、車載用途やデジタルサイネージ、エッジコンピューティングなど、さまざまな分野で活躍しています。
さらに、Qualcommは多数の特許を保有しており、ライセンスビジネスにも力をいれており、デバイスでの収益だけではなく、ライセンスビジネスの安定収益も見込めます。
最近では、Qualcommが提供するモバイル向けSoCにより、スマートフォンの性能が飛躍的に向上していることから、消費者からの支持も厚く、今後も成長が期待されます。
会社概要 | 備考 |
設立 | 1985年 |
本社所在地 | アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ |
従業員数 | 約41,000人(2020年現在) |
2.Qualcomm凄さ
Qualcommは、つまりスマホ用のSoCとスマホ向け5Gチップセットの売上が世界No.1です。
これはスマホの需要の伸びだけではなく、新しい通信プロトコルに対応できる技術力を持ち、今後も通信規格の変更のたびにクアルコムの売上が大きくなっていくことが予測されます。
スマホ用SoCの売上
Qualcommのスマホ用SoCの売上シェアは2022年Q2では44%と2位のAppleに約2倍の差をつけるなど、圧倒的な差をつけています。
これはみなさんがよく耳にするSnapdragonによるものです。
2021年の市場調査によると、2026年までにスマートフォン向けSoCの市場規模は約2,300億米ドルに達すると予測されています。
日本円で約30兆円の市場規模まで成長する見込みです。
シェアの約半分を持っていることを考えると、いかにクアルコムがいかに将来性のある企業かがわかります。

5G chipsetの売上
5G Chipsetの売上シェアは61%とこの市場でも圧倒的になっています。
これは5Gの開発にQualcommが関わっていることによる開発者利益が考えられます。
また、Appleでさえも5Gチップの開発に苦戦するなど製造が非常な製品であることも特徴です。
そのためQualcommは5Gチップセットの市場で独占的な立場を誇っています。
ただ、2024年ごろを目処にApple社が自社で5G Chipsetを開発するとみられており、この製品からの売上は大きく減少する予測もあります。

3.Qualcommの業績推移
Qulcommの売上はFY11からFY15とFY19からFY22にかけて大きく伸びています。
これは4Gと5Gの移行期と重なり、QUalcommが通信手段の移行期にうまくチップセットを開発し売り上げを伸ばしていることがわかります。
特に各移行期にはそれぞれ下記の通り売上が上がっております。
- 4G→5G(FY11→FY15) 200億ドル
- 3G→4G(FY19→FY22) 150億ドル

QCT
QCTは半導体デバイス販売のセグメントを示します。
下記はQCTセグメントの売上推移を表した図となります。
やはり4Gへの移行期や5Gへの移行期に多くの売り上げを上げていることがわかります。
また、圧倒的に純利益が向上し5Gマーケットでの支配的な立場からの高利益構造は目を見張るものがあります。

QTL
QTLはライセンスや特許を販売しているセグメントです。
ここはスマホの普及と4G移行期に一気に増えたライセンス料を微減もしくは維持して安定収益を生み出しているセグメントになります。
Qualcommの半導体を利用すると利用する割合も増え、ハードとソフトで稼ぐ理想的な形に持っていけます。

4.SOX指数との関係
2023年現在、QualcommはSOX指数の構成銘柄の一つとなっており、その構成比重は第5位となっています。今後の業績上昇からSOX指数の牽引をさらに見込めますね。
フィラデルフィア半導体株指数について詳しく知りたい方は下記リンクよりご確認ください。

5.Qualcommの歴史
歴史を見ると元々通信系の半導体開発に非常に強く、スマートフォンの登場後Snapdragonの開発がうまくいき業績の圧倒的な上昇が見て取れますね。
Qualcommは、1985年に設立された半導体・通信機器メーカーです。この記事では、Qualcommの沿革を振り返ります。
1991年、QualcommはCDMA技術の特許を取得しました。そして、1995年には、業界初の商用デジタル携帯電話を発売しました。この時、Qualcommは業界の先駆者として、多大な影響を与えました。
2000年、BREWを発表し、モバイルアプリケーションの市場を拡大させました。そして、2005年にはHSDPA技術、2010年にはLTE技術を発表しました。これらの技術は、現代のスマートフォンの普及に欠かせないものであり、Qualcommはその発展に大きく寄与しています。
2013年、QualcommはQualcomm Tricorder XPRIZEのスポンサーになり、医療技術の発展にも貢献しました。以降、Snapdragon 810、820、821、835、845、855、865を発表し、スマートフォンの性能向上に貢献しています。
Qualcommは、長い歴史とともに、技術力とイノベーションにより、スマートフォンの発展に大きく寄与してきました。
年度 | 事象 |
1985年 | Qualcomm設立 |
1989年 | OmniTRACS商用サービス提供開始 |
1991年 | CDMA技術の特許取得 |
1995年 | CDMA技術を用いた業界初の商用デジタル携帯電話発売 |
2000年 | BREW(Brew Runtime Environment for Wireless)発表 |
2002年 | MSM(Mobile Station Modem)チップの発表 |
2003年 | CDMA2000 1xEV-DO Rev. A技術の発表 |
2005年 | HSDPA技術の発表 |
2007年 | Snapdragonプラットフォーム発表 |
2010年 | LTE技術の発表 |
2013年 | Qualcomm Tricorder XPRIZEのスポンサーになる |
2014年 | Snapdragon 810発表 |
2015年 | Snapdragon 820発表 |
2016年 | Snapdragon 821発表 |
2017年 | Snapdragon 835発表 |
2018年 | Snapdragon 845発表 |
2019年 | Snapdragon 855発表 |
2020年 | Snapdragon 865発表 |
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