
「インテル、入ってる?」
皆さんがよくCMで耳にするこの言葉ですが、正直CPUがインテル製で何がいいのだろうか?
そもそもCPUのスペックってなんなのだろう?
よくCore i7やコア数、スレッドなど非常に難しい言葉が並んでけどよくわからない。
今回はそんな分かりにくいCPUの用語の意味について解説をしていきたいと思います。


1.CPUとは?
CPUとは、Central Processing Unit(中央演算処理装置)の略称で、コンピューターの中心的な役割を果たす部品の一つです。
CPUは、コンピューター内でデータの処理を担当しています。
入力された情報を解析し、必要な計算や処理を行い、出力するという役割を持っています。
CPUは、コンピューターの性能を大きく左右する重要な部品であり、その性能はクロック数やコア数などの要素によって決まります。
現在市場に出回っているCPUには、インテル(Intel)製やAMD製などがあります。
これらのメーカーは、お互いに競い合いながら、高性能かつ低消費電力のCPUを開発しています。
2.性能を測る指標
CPUは、コンピューターの中でも特に重要な部品の一つであるため、その選択には慎重さが求められます
しかし、CPUの性能を表す数値はいくつもあり、選ぶときに非常に混乱しますよね。
クロック周波数、コア数、スレッド数、キャッシュメモリ、アーキテクチャ、プロセスルールについて順番に説明をしていきます。
クロック周波数
クロック周波数とは、CPUの1秒間あたりの演算回数を表します。
クロック周波数が高いほど、CPUの処理速度が速くなります。
料理で例えるとクロック周波数が高いほど、同じ時間でできる作業が増えます。
容量の良さに似ています。

コア数
コア数とは、CPUに搭載されている処理ユニットの数を表します。
コア数が多いほど、CPUは複数のタスクを同時に処理できるため、処理速度が向上します。
調理場で例えると料理人が一人いるか複数人居るかの違いになります。

スレッド数
スレッド数とは、CPUが同時に処理できるタスクの数を表します。
スレッド数が多いほど、CPUは複数のタスクを同時に処理できるため、処理速度が向上します。
料理中に一つの作業ができる人とそうでない人の違いですね。
クロック周波数は一個の作業を終わらせる速さですが、スレッド数はマルチタスクの性能になります。

キャッシュメモリ
キャッシュメモリとは、CPU内部に搭載された高速なメモリです。
キャッシュメモリが大きいほど、CPUはより高速にデータを処理できます。
料理で例えると記憶できる指示の数になります。
より先の工程まで覚えていると作業がスムーズですよね。

アーキテクチャ
ここからは半導体のチップ製造に関しての知識になります。
アーキテクチャとは、CPUの設計に関する要素です。
アーキテクチャによって、CPUの処理能力や電力効率が大きく変わります。
当然設計によって大きく性能が変わりますよね。
料理で言えばレシピの良し悪しですね。
プロセスルール
プロセスルールとは、半導体製造技術の進歩に伴い、CPU内部のトランジスタのサイズが小さくなることを表します。
プロセスルールが小さいほど、トランジスタを大量に搭載でき、結果処理能力が圧倒的に向上します。
料理で例えると、レストランにあらゆる道具がたくさん揃っている状況ですね。
より多くの調理の選択肢を見つけられます。
3.そもそもCPUって何をしているの?
それではここまでよく聞く難しい話を聞いてきたと思いますが、そもそもCPUって何を行っているかについてです。
すごく簡単に言ってしまうと、PCの計算を行っている部品となります。
命令はPC側のメモリから飛び、その命令を元に0と1の信号を使って計算を行っています。
スイッチング機能をもち[0,1]を表現できるMOSFETを大量に使い、一気に大量の[0,1]計算を行っているのです。
最先端半導体とはこのMOSFETをたくさん一つのチップに入れるために、プロセスノードを微細化する戦争を行っているのです。

微細化のメリット
それではMOSFETの密度を向上させるとどのくらい性能が向上するのでしょすか?
性能は二つの指標で現れます。
- 消費電力の削減
- パフォーマンスの向上
消費電力の削減は、前プロセスノード(例えば32nmだと45nmに比べて)に比べてどの程度消費電力を削減できるかです。
下の表を見ると微細化が進むと消費電力が小さくなっていることがわかります。
消費電力が少なくなることで電気代が安く抑えられることはもちろん、CPUの持つ熱量も減りパフォーマンスの向上がさらに進みます。
パフォーマンス向上量は計算速度の向上です。
物理的にMOSFETの距離が近いため、計算が高速化される一面があります。
計算スピードを速くすることはそれだけ多くの解析を行うことができるため、ビックデータ解析に対応した様々な場面で活躍することができます。
Node | 消費電力削減量(比前プロセスノード) | パフォーマンス向上量(比前プロセスノード) |
45nm | 30% | 15% |
32nm | 40% | 20% |
22nm | 50% | 37% |
14nm | 35% | 15% |
10nm | 50% | 25% |
7nm | 50% | 35% |
5nm | 30% | 10% |
4.IntelとAMDのスペック比較
IntelとAMDの代表的なCPU製品のスペックを掲載します。
下記の表だと、コア数とスレッド数だけを比較するとRyzen 9 5950Xが最もハイスペックとなります。
先ほど紹介したコア数とスレッド数をもとに比較すると、AMDとIntelはコア数は同じですがスレッド数で差がついています。
処理能力、特にマルチ処理に優れていることが分かります。
メーカー | CPU名 | コア数 | スレッド数 |
---|---|---|---|
Intel | Core i9-12900K | 16 | 24 |
AMD | Ryzen 9 5950X | 16 | 32 |
Intel | Core i7-12700K | 12 | 20 |
AMD | Ryzen 7 5800X | 8 | 16 |
AMDがIntelから市場を奪った経緯などについてはこちらの記事を参照ください。
5.CPUの歴史は?
それではCPUのコア数やスレッド数、プロセスノードはどのように進化をしてきたのでしょうか?
みなさんがよく耳にする最先端半導体とは、プロセスノードの微細化の最先端製品となります。
この争いはプロセスノードの微細化により、搭載できるMOSFETの数を増加させることによって性能アップを図ります。
最先端の露光技術では2nmをTSMCとSAMUSNGが開発を行い、現行CPUではApple社のM2チップが3nmを採用しています。
年度 | プロセッサ | コア数 | クロック周波数 | プロセスノード | ベンチマークスコア |
1971年 | Intel 4004 | 1 | 0.74 MHz | 10 µm | N/A |
1974年 | Intel 8086 | 1 | 5 MHz | 3 µm | N/A |
1985年 | AMD 286 | 1 | 12 MHz | 1.5 µm | N/A |
1989年 | Intel 80486 | 1 | 25 MHz | 1 µm | N/A |
1993年 | Intel Pentium | 1 | 60 MHz | 0.8 µm | N/A |
1995年 | AMD K6 | 1 | 166 MHz | 0.35 µm | N/A |
1997年 | Intel Pentium II | 1 | 233 MHz | 0.35 µm | N/A |
1999年 | AMD Athlon | 1 | 1 GHz | 0.25 µm | N/A |
2000年 | Intel Pentium III | 1 | 1 GHz | 0.18 µm | N/A |
2001年 | AMD Athlon XP | 1 | 1.5 GHz | 0.18 µm | N/A |
2003年 | AMD Athlon 64 | 1 | 2.2 GHz | 0.13 µm | N/A |
2004年 | Intel Pentium 4 | 1 | 3.4 GHz | 90nm | N/A |
2006年 | Intel Core 2 Duo | 2 | 2.4 GHz | 69nm | 1654 |
2008年 | AMD Phenom | 4 | 2.5 GHz | 65nm | 1937 |
2011年 | Intel Core i7-2600K | 4 | 3.4 GHz | 32nm | 7840 |
2017年 | AMD Ryzen 7 1800X | 8 | 3.6 GHz | 14nm | 16069 |
2018年 | Intel Core i9-9900K | 8 | 3.6 GHz | 14nm | 23639 |
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