
最近よく耳にする、「Ryzen」
IntelからCPUのシェアを奪い、とうとう3割ほどのシェアを奪いました。
Intel一強に挑み、3割のシェアを勝ち取ったAMDはどのような企業なのでしょうか?
セグメントごとの売上推移や会社の歴史について確認していきましょう。

1.AMDとは?
AMDは1969年に創業され、本社はアメリカのカリフォルニア州にあります。
同社は、PC市場でのCPUやGPUの製造に加え、プロセッサ、サーバー用チップ、半導体設計、ゲーム用コンソールの製造など、多岐にわたる製品を取り扱っています。特に、2017年に発表されたRyzenシリーズは、IntelのCPUに対して優れた性能を発揮し、市場に大きな影響を与えました。
情報 | 備考 |
---|---|
設立 | 1969年 |
従業員数 | 約10,100人 |
売上 | 94億ドル |
本社所在地 | カリフォルニア州 サンノゼ |
2.AMDの売り上げ推移は?
AMDの事業セグメントはコンピューティング・グラフィックス、Enterprise, Embedded and Semi-Customの2つに分けられます。
全体の売上推移と、各セグメントの売上推移を確認して行きましょう。
全体売上
まずは全体の売上を見ていきましょう。
FY19以降の売上の大躍進が目立ちますね。
FY19からFY22にかけて、売上が約3倍になっています。
これはRyzenシリーズがIntelのシェアを大きく奪ったことが要因でしょう。

コンピューティング・グラフィックスセグメント
このセグメントは、主にパソコンやゲーム機向けのグラフィックスカードやプロセッサを提供しています。
AMDのグラフィックスカードは、高性能でありながら比較的低価格であるため、多くのゲームプレイヤーやパソコンユーザーに利用されています。
また、AMDのプロセッサは、高性能かつ省電力であるため、ノートパソコンやタブレットなどの携帯デバイスにも利用されています。
FY15やFY16では赤字に転落していた当セグメントのV字回復が目立ちますね。
業績低迷が目立ったFY15から比べると、FY21は約4倍となっています。
コロナ禍でのPC、タブレットの需要増を背景にRyzenシリーズでIntelからシェアを奪ったことが非常に大きいですね、

Enterprise, Embedded and Semi-Customセグメント
このセグメントは、主にサーバーや組み込みデバイス向けのプロセッサを提供しています。
AMDのサーバープロセッサは、高性能かつ省電力であるため、クラウドサービスなどのデータセンターで広く利用されています。
また、AMDは半カスタム・システム・オン・チップ(SoC)の提供も行っており、組み込みデバイスに利用されています。
こちらのセグメントはコンピューティング・グラフィックセグメントと比べて、長らく安定的に収益を維持していました。
しかし同様にFY20からの伸びが凄まじく、売上は約3.5倍になっています。
要因はAIバブルによるデータセンター需要の爆発です。
GAFAなどがこぞってクラウド戦争を行い、AIの計算処理をクラウドコンピューティングする時代になってきていることがわかります。

3.競合他社は?
皆様も感じられているかもしれませんが、「インテル入ってる?」でお馴染みのIntelは長らくCPU市場を独占してきました。
AMDとIntelのCPU市場のシェアの推移は下の表のようになります。
2019年ごろまで、CPUシェアの8割をIntelが独占していた事が、その影響力を物語っていますね。
しかし、Ryzenの発表以降AMDはIntelからシェアを奪い、ついにCPU市場で3割ものシェアを奪うことに成功しました。
AMDのRyzenシリーズがIntelのシェアを奪った理由は、性能の高さと価格の安さが挙げられます。
Ryzenシリーズは、高性能なCPUでありながら、Intelに比べて価格が安いため、多くの消費者にとって魅力的な製品となりました。
また、Ryzenシリーズは、多くのベンチマークでIntelのCPUを上回ったため、市場に大きなインパクトを与えました。
年度 | Intel | AMD |
---|---|---|
2010 | 81.0% | 19.0% |
2011 | 80.3% | 19.7% |
2012 | 83.3% | 16.7% |
2013 | 82.9% | 17.1% |
2014 | 82.4% | 17.6% |
2015 | 80.8% | 19.2% |
2016 | 79.9% | 20.1% |
2017 | 80.7% | 19.3% |
2018 | 82.4% | 17.6% |
2019 | 80.5% | 19.5% |
2020 | 80.3% | 19.7% |
2021 | 76.7% | 23.3% |
2022 | 68.7% | 31.3% |
CPUを巡るIntelとAMDの戦いについてもう少し詳しく知りたい方は下記URLから詳細をご確認ください。
4.Ryzenとは?

Ryzen(ライゼン)は、AMDが開発したCPUのブランド名です。
Ryzenシリーズは、高性能なCPUでありながら、Intelに比べて価格が安いため、多くの消費者にとって魅力的な製品となりました。
Ryzenシリーズが高性能な理由は、AMDが新しいマイクロアーキテクチャ「Zen」を開発したことにあります。Zenは、高速なキャッシュメモリや高速な命令実行ユニットを備え、高性能な演算処理を可能にしました。
また、Ryzenシリーズは、多くのコアを搭載しているため、マルチタスク処理などで高いパフォーマンスを発揮します。
さらに、Ryzenシリーズは、AMDが独自に開発したマルチスレッド技術「SMT」を搭載しており、これにより、CPUコアごとに2つのスレッドを処理できるため、より高速な処理が可能になっています。
Ryzenシリーズは、高性能でありながら価格が安いという点で、市場に大きなインパクトを与えました。
このため、IntelはRyzenシリーズに対抗する製品の開発に注力しています。
Ryzenシリーズは、高性能なCPUを手頃な価格で提供し、多くの消費者に支持され、市場での存在感を高めています。
CPUのコア数やスレッド数がわからないという方は下記URLからCPUについての概要を確認ください。
5.フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)との関係
2023年現在、QualcommはSOX指数の構成銘柄の一つとなっており、その構成比重は第4位となっています。
Intelを抜きSOX指数での存在感も十分大きくなっていますね。

SOX指数について詳しく知りたい方は下記URLから確認ください。
6.沿革
AMDの設立からの歴史を見ると最近話題のRyzenが際立ちますね。
特に元々DRAMを作っていたり、IBM PC向けのCPUを作っていたりと非常に歴史が深い会社ですね。
年 | イベント |
1969年 | AMD創業 |
1970年 | 最初のDRAMチップを製造 |
1982年 | IBM PC向けのCPUを製造 |
1991年 | Am386を発表 |
1996年 | K6を発表 |
2000年 | Athlonを発表 |
2003年 | Opteronを発表 |
2006年 | ATIを買収 |
2011年 | Bulldozerアーキテクチャを発表 |
2017年 | Ryzenを発表 |
2019年 | Ryzen 3000シリーズを発表 |
2020年 | Ryzen 5000シリーズを発表 |
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