フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)とは?構成銘柄やどこで取引されているのか、SOXLとSOXSまで解説

SOX指数

景気の先行指標としてよく用いられるのがこのフィラデルフィア半導体株指数、通称SOX指数
ファブレスやファウンドリ、半導体装置メーカーまで幅広く構成銘柄として入っている半導体系ETFであると思います。


それではこのETFの株価が上がると半導体業界の業績が良くなっていることに等しいのでしょうか?
そんなSOX指数を基本的概要から理解し、最終的に業界全体のトレンドを掴めるくらいになるまで解説できればと思います。


そもそも半導体って何?ってかたは下記URLを参照下さい。

1.フィラデルフィア半導体株指数(SOX)指数とは?

フィラデルフィア半導体株指数は正式名称:PHLX Semiconductor (SOX)
半導体の設計や製造、流通、販売を手掛ける、代表的な企業の株式(30銘柄)で構成される修正済み時価総額加重平均型指数です。

SOXは、ナスダック社と協力してフィラデルフィア証券取引所に上場しています。
1993年に米国のNasdaqが算出・公表するようになりました。

半導体は産業の米と呼ばれ、現代社会に欠かせない電子部品です。
SOX指数は、半導体産業の動向やIT産業の先行きを見るために注目されています。

SOX指数の具体的な業績は下記サイトを参照ください。

2.SOX指数の市況

産業の活況状況を表す指標として用いられるSOX指数はどのような時に変動をするのでしょうか?

3つの要因に分けて説明をしていきます。

SOX指数のボラティリティ要因

下記のグラフはSOX指数の推移と、各要因による変動を示した図となります。

半導体の産業構造上、主に3つの要因から影響を受けます。
ただし、技術要因と景気要因が同時に起こるようなことも十分に起こります

  • 景気要因:景気による需要や供給の変化によって株価が大きく変動することがある。
  • 技術要因:半導体産業は技術革新が早く、SOX指数は高い成長性を示すことがあります。
  • 地政学要因:半導体産業はグローバルであり、SOX指数は国際的な要因に影響を受けることがあります。

景気要因

景気要因は上昇・下落の二つの可能性を持っています。

過去からの推移を見てみると2008年のリーマンショック以降の下落2018年以降のAIバブルによるテック産業の好景気などが挙げられます。

景気の良し悪しで大きく指標が変化していることがわかります。

技術要因

技術要因は主に上昇を引き起こします。

2015年頃から徐々にAIブームが起こり、最高値ではそれまでの3倍以上をつけています。

技術的な進歩を背景に、半導体の需要が拡大した好例です。

地政学要因

地政学要因は半導体の生産が世界を跨ったサプライチェーンに依存していることによります。

近年懸念されているのは中国による台湾侵攻やです。
最先端半導体を製造できる企業や組み立て工程でも重要な企業の多い台湾。
そのサプライチェーンが止まってしまった世界の半導体供給が止まってしまいます。

下記グラフにはアメリカのリセッション懸念によるSOX指数の後退を一例として示しました。
昨今では供給リスクのみ注目されますが、エンドユーザーの景気も重要な指標です。

3.SOX指数の業績まとめ

SOX指数の業績や各企業の構成比重を時系列純にまとめています。
下記リンクより参照ください

2023年3月

4.何故SOX指数が注目を浴びているのか?

SOX指数は、半導体市況の動向を反映する指標として注目されています。
それではSOX指数の高まりにより何がわかるのでしょうか?

最近、SOX指数が注目される理由としては、以下のようなものがあります

  • 半導体需要の高まり:高速通信や自動運転などの技術革新や、新型コロナウイルスの影響での在宅勤務やオンライン教育などの需要拡大により、半導体の需要が高まっています。
  • 半導体不足の解消期待:自動車や電機などの産業において、半導体不足による生産調整や納期遅延などの問題が発生していますが、半導体メーカーや政府の対策により、供給不足が解消されるという期待があります。
  • 利下げ織り込み:今年に入ってから、米国のインフレ率の上昇や金利上昇の懸念から、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが見込まれていましたが、今週のFOMCでは、「年内利下げは考えていない」と発言しました4。これにより、利下げによる景気減速や株価下落のリスクが低下し、半導体株にも好影響があると考えられます

利下げによる好況はテック産業に対してもポジティブであり、特に最重要部品の半導体の需要が高まることが予想されます。そのため皆が期待を込めてSOXを購入しているのが現状です。

5.SOX指数の歴史

SOX指数を時系列で見ていきましょう。

その年の終値を比較すると2015年以降圧倒的に高値を更新していることがわかります。
2015年からはAI産業の発展による半導体需要の高まりが、2020年の高騰はコロナ需要によるテック企業の好景気が要因と考えられます。

SOX終値(12/31)備考
1993200.00SOX指数が始まる
1995200.00SOX指数が2対1の分割を行う
20001362.10SOX指数が最高値を記録する
2002214.26SOX指数が最安値を記録する
2007549.39SOX指数が回復する
2008126.04SOX指数が金融危機で暴落する
2010395.06SOX指数が再び上昇トレンドに入る
2015742.12SOX指数がスマートフォンやクラウドコンピューティングの需要で高騰する
20202776.86SOX指数がコロナ禍でも堅調に推移する
20213121.263SOX指数が半導体不足などの供給面の問題で上昇する

6.SOX指数の構成銘柄とは?

2023年3月時点でのSOX指数の構成銘柄30銘柄は下記の表の通りとなります。
GPU大手NVIDIAからCPUの覇者Intelやファウンダリの王者TSMCなど名だたる企業が揃っています。

NVIDIA ON SEMICONDUCTOR STMICROELECTRONICS
BROADCOM NXP SEMICONDUCTORS LATTICE SEMICONDUCTOR
TEXAS INSTRUMENT KLA ENTEGRIS
ADVANCED MICRO DEVICES MICROCHIP TECHNOLOGY QORVO
QUALCOMMTSMCWOLFSPEED
INTEL ASML UNITED MICRO ELECTRONICS
MICRON TECHNOLOGY MARVELL TECHNOLOGY SILICON LABORATORIES
LAM RESEARCH MONOLITHIC POWER SYSTEMS ASE TECHNOLOGY
APPLIED MATERIAL SKYWORKS SOLUTIONSMKS INSTRUMENTS
ANALOG DEVICES TERADYNE SYNAPTICS

7.SOX指数のメリット・リスク

SOX指数のトレードを行う上で、メリットとリスクは十分に把握しておかなければならないかなと思います。
下記に主に考えられるメリットとリスクを記載しました。

メリット

メリットは半導体産業全体の好況を反映していることや、半導体株のETFであることから分散投資性があることです。

  • 上昇ボラティリティ:半導体産業は今後も成長が期待される分野であり、長期的に見れば株価も上昇する可能性が高いです。SOX指数に投資することで、半導体産業全体の成長に連動する利益を得ることができます。
  • 分散投資:SOX指数は単純平均株価指数であるため、個別銘柄の選択や分析に時間や手間をかける必要がありません。

リスク

リスクとしてはボラティリティの高さ(変動の可能性)や半導体特化ETFであること、地政学リスクなどが挙げられます。

SOX指数に投資する場合は、市場の動向や自分のリスク許容度に応じて、適切な資金管理や損切りを行う必要があります。

  • ボラティリティの高さ:SOX指数は高いボラティリティを示すことがあり、株価が急落するリスクもあります。
  • 半導体特化:SOX指数は半導体産業に特化した指数であるため、他の産業やセクターとの相関が低いことがあります。
  • 地政学リスク:SOX指数は国際的な要因に影響を受けることがあり、為替変動や貿易摩擦などの政治的・経済的なリスクがあります。

8.SOX指数の±3倍!?SOXLとSOXSとは??

SOXLSOXSは、Direxion社が提供するレバレッジETFで、SOX指数の値動きに対して3倍の上昇(SOXL)または下落(SOXS)を狙うことができます。

SOXL:SOXの1日の変動に対して、+3倍の値動きをする
SOXS:SOXの1日の変動に対して、-3倍の値動きをする

少しややこしいですが、SOX指数が下がった場合、SOXLは3倍の勢いで下落し、SOXSは3倍の勢いで高騰します。
SOXSは日経インバースと同じような性質を持っています。

メリット

SOXLやSOXSなどのレバレッジETFを利用するメリットは下記が挙げられます。

高いレバレッジによるボラティリティの高さやレバレッジ製品にも関わらず証拠金が入らない点です。

  • 高いレバレッジ:SOXLとSOXSは、半導体産業の動向に対して高いリターンを狙うことができます。
  • リスク管理:SOXLとSOXSの分散投資で市場動向に対するリスク管理ができます。
  • 手軽さ:レバレッジETFは、証拠金や借入金を必要とせず、通常の株式と同じように売買することができます。

リスク

リスクとしては下記の点が挙げられます。

特にSOX指数の変動率に対して変化をするSOXL,SOXSは、$20から$14に下がるにはSOX指数の変動率が-10%で良いが、$14から$20に上昇するにはSOX指数の変動率が+14.2%必要です。
一度下がると元の価格に戻るまでより多くの株価上昇が必要となり、長期的な運用には向いていません

  • 長期パフォーマンスとの乖離:日々のリセットによって長期的なパフォーマンスが指数と乖離する可能性があるため、長期的な投資に向いていません。
  • 経費率:SOXLとSOXSは、高い経費率を持つことがあります。例えば、SOXLの経費率は0.99%、SOXSの経費率は1.01%です。

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